目からうろこのギターチューニング

ギターの弦のチューニングは奥の深い問題です。
理由は平均律と純正律の違いです。ギターはピアノと同じように12音を平均律で押さえる楽器ですので、原理的に言って完璧なチューニングはありえません。これをわかった上で妥協するしかないのではないかと思います。

ほぼ完ぺきなギターチューニングの方法について、James Taylor が教えてくれていますので、これを紹介したいと思います。

ギターの基礎的なチューニング方法

さて、ギターのチューニング方法には大まかに言って2通りの方法があると思います。
まずは、基準となる5弦開放弦のAの音を440Hz に合わせます。
その後に他の弦の音を合わせるのですが、すでに皆様は下のどちらかの方法でチューニングしていると思います。

(1) ポジションで合わせる方法
 これは5弦の5フレットを押さえて、4弦の開放弦の音を5弦の音と同じになるようにチューニングして、順に他の開放弦の音を合わせる方法です。この方法は一番簡単な方法ですが、チューニングを正確にしないと音の誤差が蓄積されて行ってしまい、すべての音を合わせるのが難しいという問題があります。
(2) ハーモニックで合わせる方法
 5弦の5フレットのハーモニックスと、4弦の7フレットのハーモニックスが同じDの音になるはずなので、順次他の弦もハーモニックス同士で合わせていく方法です。この方法はギターが平均律を元にしているのに対してハーモニックスは純正律の音ととなるために、これを考慮に入れないと完璧にチューニングしたつもりでも、チューニングは完璧にならないと言われています。

昔は道具といえば、基準の音となるAの音を音叉で出すくらいで、便利なチューナーなどはありませんでした。
チューナーがなかった頃は上記の(1)の方法か(2)の方法でチューニングするしかありませんでした。

便利なチューニングマシン

現在では高性能なチューニングツールがあるので、大変楽になりました。
純粋に開放弦の音をチューニングマシンの指示通りに合わせればいいので、平均律や純正律を知らなくても正確に、しかもすばやくチューニングをすることでできるようになりました。
世の中に沢山のチューニングマシンがありますが、どれが使いやすいのでしょうか。

ギター特有のチューニング問題

その話に入る前に、ギターのチューニングの問題が平均律の問題以外にあることに気付いている人がどれだけいるでしょうか。
一番顕著なのが、6弦の音を完璧にチューニングしたはずなのに、6弦の3フレットを押さえたGの音が、3弦開放弦のGの音より高い音になってしまうことや、2弦3フレットを押さえたDの音が4弦の開放弦のDの音より高くなってしまうなどの問題です。
また、他には開放弦では完璧に合わせたチューニングがカポタストを付けると狂ってくるという問題もあります。
この原因は、私にはよくわかりませんが、たぶんギターの構造上の問題ではないかと思います。特に2弦のチューニング問題は原理的に解明されているのではないかと思いますが、これを防ぐために2弦のサドル位置が短く設定されているギターが多いと思います。

James Taylor 先生のLesson動画:TUNINGについて

James Taylorはアメリカンミュージックを代表する今や大御所となったミュージシャンですが、ギターについては彼独自のこだわりがあります。
かなり前から(2012年頃?)、James TaylorはYoutubeに動画を載せていて、非常に参考になる動画が見れます。
今回紹介する動画は、Bonus Lesson:TUNING-Official James Taylor Guitar Lessons というもので、ギターのチューニングのやり方について、彼独自の方法を解説しているものです。
原理はわかりませんが、このチューニング方法でチューニングすると、ほぼ完ぺきにチューニングできますので紹介します。
この方法はたぶんギター特有のチューニング問題を解決するために、チューニングでの妥協点を見出したものではないかと思っています。
ぜひ試してみてください。

Bonus Lesson: TUNING – Official James Taylor Guitar Lessons

要約すると、
ギターチューニングは弦の種類やカポの使用などがあり、複雑になっている。
◆ベース弦の音はシャープする傾向にあるので、フラット気味にチューニングする必要がある。
◆Bストリング(2弦)はいろいろな要素があって基準音に対して、フラットにする必要がある。
と言っていると思います。
そのためにチューニングをしっかりするためには、セント表示機能のあるチューナーが必要です。
セント表示とは、半音を100セントに分割したもので、1セント単位で検知できるチューナーが必要だというのです。

そのチューニング方法は
 1弦 E は -03cent
 2弦 B は -06cent
 3弦 E は -04cent
 4弦 D は -08cent
 5弦 A は -10cent
 6弦 E は -12cent
に合わせなさいと言っています。

低音弦に行くほど低くセッティングすることと、2弦だけはフラットにセッティングすること、すでに1弦からフラットに調整することなどが、ポイントのようです。 どうして、このようなチューニングをするのかについては、語っていませんが、私の解釈では、
 ・1弦からフラットにするのは、開放弦はフレットより高めのナットセッティングとなっているため、これを補正しているのではないか。
 ・低音弦に向かって低めにチューニングしているのは、低音弦のシャープ問題を解決するためではないか。
 ・2弦だけフラットが大きいのは、2弦がシャープになるというギター特有の構造上の問題を解決するため。
と勝手に思っていますが、実際にこのようなチューニングをすると、カポタストを使っても大きなチューニングのずれがなく、完璧なチューニングができることがわかりました。 完璧といっても、たぶん妥協できるぎりぎりのところを押さえているものと思います。

チューニングマシンの説明書にあるチューニングのやり方をみると、各弦毎に0centになるようにというのが一般的ですが、不思議です。

セント表示のできるチューニングマシン

そこで、動画にあるようなセント表示のあるチューニングマシンを探しましたが、家にあるチューナーはすべて、もっとアバウトな表示のチューナーしかなく、1セントまで表示できるチューナーはありませんでした。

よく探したところ、SEIKOが出しているギター・ベース用チューナー SEIKO SAT101 というのが見つかりました。
現在はこの機種は生産中止となっていて、現在は SAT10 という機種が後継機種ではないかと思います。

私はSEIKOから何ももらっている訳ではないのですが、KORGやROLAND、YAMAHAでも、このようなチューナーを出してほしいものです。

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